ビタミンCの効用

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ビタミンCの効用

超高齢化社会を迎えた日本で、還暦を過ぎたシニアにとって問題となるのが以下の3つの疾患群です。

A アルツハイマー病 Alzheimer disease
B 動脈硬化症 Blood disease
C 悪性腫瘍 Cancer

この還暦病のABC予防するにはどうすれば良いのでしょうか?
スポーツをする習慣は、AとBの予防には直接的に、極めて有効ですが、Cの予防には間接的な効用しかありません。

日本人の2人に1人ががんで亡くなっており、死因の第1位ががんです。
がんは悪性腫瘍 cancerとも呼ばれ、この50年間に世界中の研究者が治療法を模索して来ましたがが、
なかなか決定打が現れませんでした。ところが21世紀に入って、ビタミンCががん細胞を選択的に殺す、
という衝撃的な仮説が、事実であると認定されるようになりました。

ビタミンCは、アスコルビン酸とも呼ばれる物質で、コラーゲン合成の補酵素として機能しています。
これが不足すると壊血病を起こすことは知られていますが、近年、ビタミンCが、がんの治療に使われるようになりました。
作用機序は、ビタミンCが過酸化水素を発生し、正常細胞を傷つけることなく、がん細胞のみを壊死させる、
というものです。

ビタミンCと抗がん作用の関係は、肯定⇒否定⇒肯定という70年の歴史を持っており、概略は次の通りです。

(1)1937年、ドイツの医師アッペルバウム Appelbaumは、がん患者の血清ビタミンC濃度はゼロに近いことを発見した。

(2)1968年、アメリカの婦人科医チェラスキン Cheraskinは子宮頚部がんの患者に1日750mgのビタミンCを投与した。

(3)1969年、アメリカの泌尿器科医シュレーゲルSchlegelは、
1日1.5gのビタミンCで膀胱がんの再発を予防すると発表した。

(4)1970年、アメリカの生化学者ポーリングPaulingはイギリスの外科医ユアン・キャメロンと末期癌患者に
ビタミンCを点滴及び経口投与するという治験を開始し、「癌とビタミンC」を発表した。

(5)1975年、アメリカの医師リオルダンは
カンザス州にビタミンC点滴療法の治療機関である国際人間機能改善センターを開設した。

(6)1985年、アメリカの医療機関メイヨークリニックMayo Clinicは、
「ビタミンCの大量投与は進行ガンに対して無効である」との論文を発表した。

(7)2005年、アメリカ国立衛生研究所NIH、アメリカ国立がん研究所NIC、アメリカ食品衛生局FDAの研究者が、
「ビタミンCには選択的にがん細胞を殺すプロドラッグ作用がある」という論文を発表した。

ビタミンCの摂取量には3段階あり、

(1)1日0.1g経口摂取
(2)1日1g経口摂取
(3)1日50g静脈注射

(1)は厚生労働省が勧める最低摂取量、(2)はがんの発生予防が期待できる量、
(3)は既に診断のついたがんの治療量です。

「毎日1gのビタミンC摂取は、がんの発生を予防する可能性がある。」という命題は、正しいと言えそうです。

【参考書籍】
(1)柳澤 厚生 (2008) ビタミンCがガン細胞を殺す

(2)水上治 (2008) 超高濃度ビタミンC点滴療法

(3)柳澤 厚生 (2009) 超高濃度ビタミンC点滴療法ハンドブック

【参考論文】
(1)G. E. Pipkin, J. U. Schlegel, R. Nishimura1 and G. N. Shultz (1969)
Inhibitory Effect of L-Ascorbate on Tumor Formation in Urinary Bladders Implanted
with 3-Hydroxyanthranilic Acid, Proceedings of the Society
for Experimental Biology and Medicine 1969;131:522-524

(2)Cameron E, Pauling L (1976) Supplemental ascorbate
in the treatment of cancer : Prolongation of survival times interval human cancer.
Proc Natl Acad Sci USA, 73, 3685-3689

(3)Qi Chen et al (2005) Pharmacologic ascorbic acid concentrations
selectively kill cancer cells:
Action as a pro-drug to deliver hydrogen peroxide to tissues

◯http://www.pnas.org/cgi/content/full/102/38/13604

(4)Hickey S, Robert H (2008) The real story of Vitamin C and Cancer

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